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zoom RSS ワグナー9;「ローエングリーン」と「パルシファル」

<<   作成日時 : 2017/12/16 07:00   >>

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オペラ「ローエングリン」のなかで、主役ローエングリンがパルシファルの息子として登場します。「ローエングリン」は「パルジファル」を書いた1877年よりずっと前1846−8年頃の作品です。パルシファルのオペラでの役割は両者では全く違い、「ローエングリン」では彼に宗教的役割はありません。しかし聖杯の騎士であるのには違いありません。ワーグナーに聖杯伝説への傾倒が30年も前からあったのは確かです。
「ローエングリン」は現実のドイツ国の出来事で、彼パルシファルの息子がローエングリンとして架空の国から降りてきて、遭遇した事件が「ロ-エングリン」物語の骨格をなしています。しかし登場人物は人間臭いのが特徴でこの事件の現実味を示しています。主役の一人エルザ姫が人間的弱さを表し、ローエングリンの名を聞く欲望に耐えられなかったことや、敵役のオルトルートの極めて人間臭い行動がそれを示しています。これらはワグナーのオペラには珍しい人物です。

話は前大公の死で残された二人の子供、姉エルザ弟ゴットフリートの「姉が弟を殺した」という噂話からはじまります。姉の結婚相手の選択が話題の中心で、二つの道が用意されています。一つは姉の弟の殺傷という姉への悪評、他は策士フリードリッヒの姉エルザとの結婚の野心による王位の奪取、これに姉の夢見る性格が絡み、物語は大変重いストーリーではじまりますが、これに彼女の夢で出会った騎士の存在の有無で話は混乱し、架空と思われた騎士が白鳥に乗って登場し、フリードリッヒと戦い、姫の冤罪をはらします。白鳥の騎士は名を知らせないという条件での助演でしたが、結婚の夜での執拗な姫の要求で、名が明らかにされ、騎士は本名ローエングリンを明らかにし、聖杯の国に帰って行く.代わりに弟を地上に呼び戻し、姉の弟の殺害が虚構だという事実を証明して話は終わります。
おとぎ話的なストーリーですが、人間の性格は実在するものなので、話が実在の物語に聞こえ、大変魅力的なオペラになっています。私はワグナーのオペラでは最も好きな一つです。音楽も前奏曲に始まって魅力的なアリアが多く、聞きやすいものとなっています。「エルザの夢」も名曲です。

私がこの話でいつも不思議に思うのが、ローエングリンとエルザとの結びつきの動機です。いくら繰り返し聞いてもワグナーが書いた筋書にはそれが見当たりません。二人の結びつきはワグナーの思い付きではないのではないかと思い、今回調べてみたところ、二つのドイツ民話に出会いました。一つは1816−18年にヤコブ・グリムの書いたドイツ伝説、他はエッシェンバッハの書いた叙事詩「パルジファル」です。
第一の話ではすでに独身の女王であったエルザがスエ―デンで竜を退治して名声をはせていたフリードリッヒに結婚を迫られたが、女王はこれを拒否、裁判で決闘実施に追い込まれます。誰も彼女の代わりに決闘を受理すると申し出なかったが、彼女が必至に祈ったところ、遠くにあるモントサルバルチェにある「聖杯」の鐘が鳴り、姫の危機を知らせ、聖杯はパルシファルの息子ローエングリンをその地にやることを決めました。ローエングリンが出発しようと馬の鐙に足を書けたとき、後ろに舟をひいた白鳥が川を泳いできた。ローエングリンは叫んだ「私はこの鳥と一緒にこの鳥の連れて行ってくれるところにいく。」神を信頼し食糧を積まなかった。二人は5日間道中を進んだが、その間白鳥はとった魚の半分をローエングリンに分け与えた。
エルザがアントワーブで諸侯と会議をひらいているところへ白鳥が現れた。ローエングリンは彼女の陥っていた危機の代役をかってでた。
このグリムの話はワーグナー・オペラの台本に十分なっただろう、と私は思います。虚構と現実が白鳥を中立ちに見事に結び付いています。
もう一つは叙事詩「パルジヴァ―ル」の中に見られる「ローエングリンの題材」というW.vonエッシェンバッハが書いた小文です(1836〜41)。それはこんなものでした。
ブラバントの国を一人の婦人が統治していた。彼女は気品に溢れ、富は豊かで血筋は高貴であった。けがれなき愛のおかげで、下劣な欲望とは無縁であった。身分に相応しい男たちが、彼女に求婚したが、すべてがこばまれたので、多くの伯爵はやがて不平を漏らし、憎しみさえいだきはじめた。−−−−--聖杯の命令でモンサルヴェーシェから一人の騎士が白鳥に乗って、アントヴァーブで行われていた諸侯の会議場に現れた。−−−−−−
この叙事詩ではローエングリンとブラヴァントが初めて、結びついています。ワグナーの「ローエングリン」と大変にています。二つの話の起源は同じかもしれません。
ワグナーの興味は後年、パルジファルについての宗教的見解を楽劇につくることになります。

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