シューマン(9)歌曲(詩人の恋)

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シューマンは「歌の年」と呼ばれるくらい沢山の「歌」を集中して書いていますが、ピアノのの「トロイメライ」のようなポピュラーな曲はありません。でも歌が好きな人なら、「ミルテの花」「リーダークライス」「詩人の恋」「女の愛と生涯」という連作歌曲を上げれば、どれか一つ位。知っておられるでしょう。
シューマンはロマン派と呼ばれています。日本人は「人生夢のごとし」という言葉があります。この言葉にはニヒルな響きがあります。「人生と夢は同じ材料で作られている」という、シェックスピアノの名言には、ニヒルな響きより、ロマンがあります。ロマン派作家を生む素地があるように私にはおもえます。

ロマン派が度々とりあげた、「恋」だの「古城」という単語を生みだす泉がこの言葉にはあるから、シューマンの歌曲には、これらの言葉が何度も現れるのでしょう。
「詩人の恋」など代表例でしょう。シューマンが人生と同じ材料で織り上げられる「恋」を見事に作り上げてつくれたから「恋」をうたうこの曲が名曲となったと、私は思います。「恋」は詩人が作った人工的な、つまり聞いている人が「恋」をしているような錯覚を持たせる作品となった。だから「詩人の恋」なのです。


13  夢の中で泣いた 寝覚めてもなお 涙が頬を伝って流れていた
    夢で泣いた  お前に見捨てられた夢を見て  目覚めてもなお 私は烈しく泣いた
    夢で泣いた お前の変わらぬ心を夢に見て 目覚めてもなお 涙は果てず流れていた。

何と夢の多い詩だろうかと思います。87歳の老人は夢という材料で長いこと作ってきた人生をふりかえり。この200年前の名作に涙できる幸福を思うのです。

「女の愛と生涯」だって女性から慕われる夢を老人に思いおこさせます。この女性の夢が自分の年齢を忘れさせてくれるのです。

1、君を見しより
  あの方をお見掛けしてからというもの私は
   まるで盲も同様
  何処を見ても、目に映るはあの方だけ。
  目覚めて夢をみているかのように
  あの方のお姿は目の前に揺らぎ
  この上なく深い闇から
  ますます明るく浮び上って来るのです。

フィッシャーディスカウのは勿論名演ですが、アルトのナタリー・シュトットマンを聞いてご覧になったらいかがでしょうか。

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