ガイアの治療4(まとめ)

D まとめ
Ⅶ)日本での需給
1)現状の資源の話をします。木が限りなくあったとき、つまり生長量が伐採量よりおおかったとき、この言葉は心地よい響きをかなでましたが、今は逆で、森の利用は多くの人に環境破壊を連想させます。
今、日本は木の使用量の2割しか自給していません。製材用が3割、製紙用では自給率は1割で平均2割です。 
消費量1億1千万立方メートルのうち、輸入が9千万、自給が2千万立方メートルです。1人1立方メートルです。
日本の森林の現状はどうか。山には35億立方メートルあって、10%生長とみると、年間の生長量は3億5千万立方メートル。生長が3%で木材消費量とほぼ同じです。これは5年前のデータで今の使用量は紙パルプ用と建築用合せて9千万立方メートルだったと思います。
この数値からいうと日本は木材の自給を出来る国です。生長した分だけ使ってすむのです。見事な緑の山が続いているから諸外国からの資源泥棒的な批判は言われ方をされても仕方がないほど、木材工業の現状は日本の環境を破壊していません。
2)新聞紙については前に述べましたからここでは紙全体をとりあげます。紙の消費でみると、1億2千万人が3千万トンの紙を使っており、1人あたり、250キロで先進国の平均値です。
ほぼ同じ量のパルプを使うので3千万トンになります、その内訳は化学パルプKPが1千万トン、1800万トンの古紙パルプ、残りが機械パルプです。問題はクラフトKP1千トンの原木をどこの木で補給するかということです。(表8)
3)KP1千万トンを作るには、熱帯亜熱帯での植林なら150万ヘクタールでいい(産業植林でヘクタール25立方メートルと低めに見積もって、KP1トンを作るのに原木3,4立方必要として計算)ことになります。
150万ヘクタールですが、日本でこれをやると、落葉広葉樹になるので生産性は3分の1、だから面積は3倍の450万ヘクタールで、わが国国土の8分の1、つまり九州くらいの土地がいります。
仮に熱帯でやるとします。インドネシアで今の日本と同じような紙の使用が行われたとしても国土に対する割合は1,3%に過ぎません。
東南アジアのような植林の適地では紙パルプ産業がいかに少ない面積で需要を満たせるかがわかります。
4)日本の製紙会社の代表は今は王子製紙と日本製紙ですが、王子製紙の海外植林計画をみると、2010年までに、20万ヘクタールになる(大阪府)としています。これで自社使用年500万トンのパルプの3分の1(183万トン)がまかなえると宣言しています。
前記の産業植林地は王子製紙の分を含みますが、似た計算をすると、日本が関係する36万2千ヘクタールから332万トンのパルプがとれます。
これは日本の必要なkp年千万トン余の約3分の1です。但し古紙回収が今のように行われているという前提での計算結果で、日本の古紙回収が如何に大事な資源であるかがわかります。
パルプ材用植林事業は森林を伐採した跡というより、荒地や放牧地で行われているから、森林を増やす方向に働くのは確かです。つまり空気中の炭酸ガスを減らすのに役立つ。しかしそれでも、その倍もの森が倒されているのが近未来の姿です。これは温暖化にとってマイナスです。
Ⅷ)未来の文明
表8は最近の王子製紙のホームページです(表9)。植林につとめ、省エネが進んでいる紙会社でもこの数値つまり排出量が削減量を上回るのをどうどうと出してはばからない世相が、環境問題の深刻さを示しています。
文化として工業として成りたっている新聞産業、ここで払われている努力はこれ以上は無理と思えるほど、日本では完全に行われています。他の工業では不可能な産業植林のような方法で環境に寄与できる体質を製紙工業はもっていますが、それでもホームページの状況です。工業に依存した人の営みによる環境破壊は並の努力では克服しがたいことが、新聞紙を例にとるとよくわかります。
私のような歳の人間には今の大量消費文明の前途に希望をもてません。私は林業と林産業、そして工業との間で仕事をしてきました。そこでの経験から考えると、新文明についてはもっと具体的に考え、工業をどうするかについて考えて行動しないと、文明の終焉の方が早く来るように思います。
表8 日本のパルプ(KP)使用量と植林面積
kp1トン生産するには    原木   3,6立方㍍
kp1000万トンのため   原木 3600万立方㍍
産業植林1㌶         生産原木 25立方㍍
必要面積は3600万÷25=144、  約150万㌶

表9 CO2の排出・固定:(王子製紙ホームページより)
総排出量 15,172千トン(1990年度比 1.3%減少)
植林固定量 6,711千トン(1990年度比 73%増加)
ネット排出量 8,461千トン(1990年度比 34%減少)

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