ヘンデル(4)全盛期「シーザー」(H30)

ヘンデルがイギリス社会に受け入れられるまでにはいくつかのオペラを書き続けました「忠実な羊飼い」(1712)「テセオ」(1712),[シーラ](1718)「ラダミスト」(1720)フロリダンテ(1721)「オットーネ」1723)「ジュリアス・シーザー」(1723)[タメルラーノ]17231724年、傑作「エジプトのジュリアス・シーザー」が生まれました。このあとにでた名作は「オルランド」(1733)「アリオダンテ」(1735)「アルチーナ」(1735)「クッセルキセス」(1738)などです。
[ジュリアス・シイーザー]は1724年の作で,原作はF/プサーニ。実名を使っていますが、内容は創作。シーザーがエジプトへ行きクレオパトラと出会ったことを中心に話を進めているだけです。登場人物は
ローマ側 シーザー〈ローマの名将,セネジーノが」やる〉ク-リオ(司令官〉コルネリア〈ポンペイオスの未亡人〉セスト〈その息子〉  エジプト側 クレオパトラ〈女王、クッオーニがやる〉、トロメーオ=プトレマイアス(その弟、王)アキーレ〈トロメーオの顧問〉。オペラはこれらの主役が交代に現れ、美しいアリアを歌うのですが、歌の中身は劇の進行に関与しないので、端に並べただけという印象さえもちます。ヘンデルの才能はこれを一つの劇にまとめあげる工夫、それはアリアとアリアの音楽的関係、例えば調性の問題や舞台の設定上の工夫にみられ、終わったあとに充実感としてのこります。
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紀元前48-47年の出来事、シザーはポンペイオを追ってエジプトに進出し、歓迎され入場、ポンペイオ軍は降伏する。相手の意を察した司令官アキーレは恭順の意をしめすため、ポンペイオの生首をさしだす。妻コルネーリアは之を見て、失意,復讐を誓う。ローマのクーリオは彼女に求愛、拒否される。彼女は自殺をこころみかっての愛人クーリオに止められ、息子は復讐を誓い、カエザルはポ副将ンペイオの首をみて感慨にふける。エジプトの宮廷ではクレオパトラは、トロメーオの命令でポンペーオが殺されたことを知り、トロメーオが女遊びしか能がなく、治安能力はないと考え、自分がカエザルを誘惑し、エジプト唯一の支配者になる決心をする。一方、トロメーオの部下アキュレはシーザーを殺そうと提案する。条件はコルネリアが彼と結婚すること。
クレオパトラはシーザーが感慨にふけっているところへ、リデイアの変名でちかづく。シーザーもクーリオも彼女の美しさに魅せられる。コルネリアは再度自殺をはかるがセストにとめられる。トロメーオ暗殺はクレオパトラも援助すると慰められる。シーザーはトロメーオの屋敷を案内されているところへ、コルネリアとセストが現れ、トロメーオを非難するセストは囚われ、コルネリアは捕縛される、アキュレはここでまたコルネリアにプロポーズし、拒否される。
第二幕でリデイア(実はクレオパトラ)で出、魅惑的なアリアを歌う。周囲には踊り子があらわれ、オケがなってシンホニアとなる。シーザーがリデイアに近づくと消えてしまう。ニレーノはあとでカエザルをリデイアが迎えにくるとつげる。
庭でいやしい仕事をしていたコルネリアにアキッレが再度求愛するが拒否される。トローメオは彼にはやらないと傍白し、みずからコルネリアに求愛するが拒否される。彼女は再度自殺をこころみるがセストにとめられる。
クレオパトラはカエザルの暗殺計画が進んでいることを知り、正体(クレオパトラであること)をあらわし、シ-ザに逃亡をすすめる。
後宮ではコルネリアを強引にベットへつれこもうとするトロ―メオにセストがおそいかかるが、アキッレにとめられ、彼は自殺をはかるが、母に止められる。
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       舞台写真
第3幕クレオパトラ軍はトローメオ軍に敗れクレオパトラは捕虜になる。海上に避難していたシーザは上陸し、彼女を救う。アキレはクレオパトラ軍にはいり、ポンペーオを殺したことを白状し、指揮権を返上する。シーザはこれを受け、自ら指揮して、トローメオ陣に侵入し、クレオパトラを助ける。コルネリアは執拗に求愛するトーメオを拒否、そこえセメレが来て彼をさす。クレオパトラは王冠をカエザルに渡すが彼は受け取らず、「ローマの偉大な皇帝に」の言葉で愛と忠誠を誓う。
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            ヘンデル

英雄ものといいう分類に入り、歌手は衣装をかえ、それらしいうごきをしますが、アリアは棒立ちで歌うだけです。しかし音色に変化があり十分楽しめます。ソプラノだけでなくカウンターテナーも含め、高音がオペラ全体を支配します。
ソロのクレオパトラが歌う「優しい眼差しよ」などがひきつけるアリアが多くあります。これら個々の工夫と、ヘンデルが蓄積した技量が全体の均衡を維持し、傑作オペラの名に恥じないものとなっています。LDでみるかぎり、場面の交代というより、情景の変化がアリアごとに行われ、舞台は一つでオペラの全体性が確保されています。
シーザーとクレオパトラという対照的なスター、ポンペイウス夫人とセストは悲劇の主人公、対する数人の求婚者、彼らが入れ替わり立ち代わりアリアを歌い、レシタチーボは極めて少ないから、彼らの歌をつなぐ調整の仕方に退屈させない変化がいりますし、それに成功しています。このオペラの人気の所以となっています。ヘンデルオペラの台本は奇妙なのが多いのですが、これは存外まともで、話の筋に一貫性があり、劇的な興味もあります。

CD アーノンクールのヘンデル歌劇唯一のCDがあります。
LD ジャネット・ベーカー、マスターソン、他マッケラス指揮イギリス・国立オペラ
dvd クリステイ指揮グラインドボーンオーケストラ、コネリー、ニース2005年
CD アリア「デセイ」これはクレオパトラのアリアを主に歌っています。

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