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zoom RSS 自我・連帯(1)(ストーム)と野球

<<   作成日時 : 2018/02/16 09:50   >>

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「ストーム」という言葉を憶えてあられる方はもう数少ないだろう。旧制高校はの特殊用語だからだ。1年在学した旧制高校の生活中で、覚えた意味のある自主的教育用語だったように思う。
旧制高校は昭和23年に廃止になった。それは高級官僚が、旧制高校、帝国大学の学歴で高級官僚となり、軍人とともに、日本を破滅に陥れたとアメリカが考えたことに由来する事件のせいだが、旧制高校の教育が全て謝りだったのではない、と私は思う。上記自主的教育など、一部の過ちを除き、優れた教育だった。

全寮性だった宿舎に、ある日突然「ストーム」の掛け声で、上級生が現れ、下級生が座らされる。そして「お前は入試に通って偉いと思っているだろうが、お前は並みの凡人だ。お前には独自の何物もない。自我を確立せよ、」と怒鳴られる。
私はストームをそう理解した。あるいは「お前は偉いと思っているが、自分らしさは何もなく、凡人にすぎない、自己を確立せよ」こう怒鳴られたようにもおもう。
高校時代は1年しか無かったから、その深い意味は分からなかったが、大学に入ってもこの言葉は残った。

大学正門の前で毎日アジ演説をしている仲間は皆同じ事を言っていた。自我がない。私には空しく思えたが、では「お前には、自分だけしかないものに何があるか」と自問すると、「自分らしい」、と言えるものは何もない。悩んだ。昭和26年の頃である。悩んで辿りついたのが何と「野球」だった。「野球」だけは小学生からずっと続けて居るし、戦争中もプロを見にいったから、並以上の知識があると自負できる。そこで試しに、「ベースボールマガジン」という月刊誌にジャイアンツの試合評を投稿してみた。幸いそれが2ページ大の記事となって掲載された。私の身分は書いておいたせいか、池田という編集長から、其の文について、東大助教授の神田先生へ連絡があり、私は呼び出された。このご縁で、私は教養学部体育のゼミに参加することになった。当時どんな教科のゼミの受講も許され、単位に認定され、成績がついたのである。
神田先生は当時硬式野球部監督として、神宮球場で活躍されていたほど知名人だった。学生数人で週一回ゼミを開き、公式野球のルールを学んだ。それだけでなく、先生の依頼で、私は対戦する相手の六大学チームを試合の前に訪れ、練習を見て、ナインの体調を観察し、先生に報告した。(それがかなりの精度で当たったのだ。)私が野球に自信をもったことは言うまでもない)2年間たち本郷へ進学する時期になって先生に呼ばれ、「教育学部へ行くのだったら、卒業後駒場の助手に呼んでやるよ」と言ってくださった。将来の展望を当時全く欠いていたから、有難い申し出だったが、私の悩みは深く、更に1年留年し、農学部に行ってしまい、このご厚意に答えられなかったが、先生は予想外の早世をされたので、幸いだったかもしれない。教養学部を去るに当たって、先生の希望で木村という仲間と二人で野球の技術本を書いた。その全文が後日、「軟式野球」という題名で神田順次の著作として出版された。1冊記念に送ってくださった。私の名は入っていなかったから、少し不満だったが、今となれば先生のご厚意が厚く感じられる。
先生の死は朝日新聞で見た。可なり日がたっていたので、ご葬儀には参加できなかったのが悔しい。

夢のような数年の出来事だったが、「自我の確立」というストームの教えが生きた少数例と言えよう。

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